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「ン……ぁ……」
耳を舐られながら下半身の昂りを弄られ、俺の身体から力が抜けていく。
息は乱れ、声が零れ出る。思わず華侯焔の背にしがみついていると、人の悪い忍び笑いが俺の耳を煽ってくる。
「素直だな。気持ち良いことに正直な奴は好きだ……貪欲で、俺も遠慮なく快楽に浸れる」
華侯焔がうっとりとした声で呟くと、カリッ、と俺の耳を甘噛みしてくる。
刺激の変化に俺の身体が大きく跳ねる。淫らな痺れに唇が緩み、身の内から込み上げてくる熱い息を吐き出す。
このまま手の動きを速めてくれれば、快楽と熱を溜め込んだ昂りを解放することができる。
思わず強請るように、俺は華侯焔の背に指を食い込ませ、服越しに力を込める。だが手の動きはむしろ緩やかになり、もどかしさが募ってしまう。
「……焔、はや、く……っ」
言葉に出して訴えてみたが、返ってきたのは宥めるような頬へのキスだった。
「我慢するんだ、誠人。俺たちを相手にするのに、今から出していたら身が保たない。もっと乱れてもらわないと……な？」
戸惑いを口にする間もなく、華侯焔が俺の唇を貪ってくる。
大人しく受け入れろという押し付けに、わずかな反発を覚える。だが、すぐに口内を舌で荒らされ、頭の奥が蕩けていく。胸の奥も熱く疼いて、自分からも求めたい衝動に駆られて自ら舌を絡めていく。
精を放つことを許されず、別の逃げ道を求めて、俺の身体は夢中に快楽を集めてしまう。
少しでも刺激と熱が欲しくて、火照った身体を華侯焔に押し付け、淫らに揺らし、自分で自分を追い込んでいく。
だけど足りない。華侯焔から触ってくれないと、刺激が弱くて焦らされる一方だ。
達したがる俺の昂りを放置して、華侯焔の手は俺の後孔に伸びる。
双丘の間に指を埋めたかと思えば、後孔の周りをなぞったり、軽く押したりするだけで埋めはしない。
甘くて浅い疼きばかりを与えられて、俺の心臓がキュッと締め上げられていく。
早く身体を暴かれたい。
絶え間なく詰め込まれる快楽に壊されたい。
この身の内で華侯焔の熱を、深く感じて溶け合いたい。
口に出して縋ることができれば、どれだけ楽になれるだろうか。
でも言えない。快楽に溺れるだけの弱者に成り果てれば、華侯焔は俺から離れていくだろうから。
「焔……ふぅ、ン……く、ぅ……っ……」
俺はかすかに喘ぎながら、華侯焔にしがみついてささやかによがる。
互いの乱れた着衣から身の熱が溢れ、二人の間で混じり合う。ほのかに漂う甘みを伴った匂いがして、息を吸うほどに身体が華侯焔に魅せられていく。
繋がらないままのまぐわいに夢中になっていると、キィ、と静かに扉が開く音がした。
華侯焔の動きが止まり、顔が扉へと向けられる。
俺もつられて目を向ければ、軽装の才明と英正が、華侯焔の下で乱れた俺に熱い視線を送っていた。
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