現実での顔合わせ

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 なんの恐れもなく二位への挑戦を口にされ、俺の手が勝手に拳を作り、手の平に汗を滲ませる。  確かに俺たちの強みはある。ゲーム内最強の華侯焔も、華侯焔が認めた軍師・才明の存在も大きい。  だが、第三位の澗宇が持つ領土の広さや資源の豊かさ、人材の質や量を知っているだけに、その上の二位に挑むだけの規模にはまだ届いていない気がする。  俺が表情を曇らせていると、おもむろに華侯焔が俺の背中を叩いてきた。 「案じなくてもいい。戦い方はいくらでもある。俺が正代君を勝利に導いてみせる」 「東郷さん……ありがとうございます」  最初から華侯焔は頼もしかったが、東郷さんと同一人物だと分かって、より一層心強く感じる。  思わず見つめ合っていると、仲林アナから苦笑交じりの声がした。 「つまりゲーム内で、先程プレイしたように正代選手を我々で無茶苦茶にするってことですね」  ……またアレをやらなくてはいけないのか。  ゲームを終えて間もないだけに、身体は三人がかりの淫らな行為を鮮明に覚えている。  現実に戻って冷静になると、脳裏に行為の一幕が浮かぶ度に特大の羞恥心と抵抗感に襲われてしまう。  合わせ技の威力の凄まじさは理解している。華侯焔だけでなく、才明や英正とも力を合わせて技を放てるとなれば、確かに戦力増強になる。  頭では有効だと認めているが、まだ心がついていけない。  行為が始まってしまうと、悦びを覚えて自ら貪欲に彼らを求めてしまう自分の一面が怖い。身体を重ねるほどそれは酷く、底が見えない。  強さを求めてゲームを始めたはずなのに、『至高英雄』の頂点に立てた時、俺はどこまで堕ちているのだろうか?  全身が汗ばむのを感じていると、東郷さんが躊躇いなく頷いた。 「それも勝つために必要なことだ。正代君に無理をさせてしまうのは心苦しいが、『至高英雄』の犠牲になっている者たちを早く助けるための手段。協力して欲しい」 「私に異論はありません。才明として、正代選手が勝ち上がれるよう手を尽くします」  完全に割り切りができている仲林アナも、短いながらも力強く頷く。  俺は二人のようには割り切れない。  心の中で、あれは必要なこと、と何度も呪文のように繰り返し言い聞かせてから、ぎこちなく頷く。 「勝つために必要なら……やります」  大腿の上でギュッと拳を硬く握り、手の平に爪を食い込ませていると、東郷さんの手が優しく包み込むように乗せられる。  言葉がなくても東郷さんの気持ちが伝わってくる。  勝つために必要な行為だが、それだけではないと――。  まだ華侯焔に覚えてしまった感情を、そのまますべて東郷さんに向けることはできていない。でも、胸から込み上げる優しい熱が頭の中にまで広がり、気を抜くと喜びでぼんやりとしそうだった。  
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