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「――……ッッ」
耳の奥まで甘い言葉が届いた瞬間、俺の身体に痺れが走り抜ける。
腰の奥が脈打っている。たったこれだけで達した? 身体がやけに敏感だ。
もぞ、と身じろいで太腿をすり合わせた時、臀部に濡れた感触を覚える。
昨晩の名残り? いや、朝には身を清めている。それに宴の前に風呂を浴びた時は濡れてなどいなかった。まさか……。
自分の身に起きていることを悟りつつあった俺を、華侯焔は抱き寄せ、小さく声を弾ませた。
「誠人が寝ている間に、ちゃんと身体に塗っておいたから。いつものやつだ。身体もよく覚えて、もう喜んでいるみたいだな」
服の上から俺の身体を撫で回し、理性を壊していく様は手慣れていて、気を抜けばいつものように喘ぎそうになる。
だが、これは戯れでも、想いの重ね合いでもない。
俺を淫らに壊すだけの行為。
やめてくれ、と拒みたい。突き飛ばして華侯焔の腕から抜け出したい。
それなのに身体に力を入れることができず、俺は口元を緩めながらも泣きそうになっていた。
「焔、やめ……ン……っ、なんで、こんなことを……」
「俺の言うことを聞いてもらうため、だ」
おもむろに華侯焔は、身体に貼り付いている服の上から胸の尖りに歯を立てる。
ジン、と甘い疼きが身体の奥まで響いて身悶える俺に、華侯焔が望みを告げる。
「誠人、志馬威と手を組め。この世界でもあっちでも、支配する側になれ」
「なぜ、だ……? 覇者になって、敗者を解放するために、俺を支えてくれていたのに――」
「事情が変わった。理由は後で教えてやるから、今は……」
華侯焔が俺の帯を解き、服を脱がしにかかる。
露わになった肌が甘くざわつき、指や舌が這うだけでビクビクと俺の身体は歓喜する。
抵抗らしい抵抗は、首を小さく横に振るだけ。
そんな弱さを晒す俺を、華侯焔の指は容赦しない。すでに軟膏を塗られた後孔に指を埋め、まだ柔らかさが残る肉壁を解していく。
「あっ、ぁ、ぁぁ……ッ……アァ……っ……」
「分かるか誠人? もう二本、入ってる……ははっ、イッてるな。こんなに指に吸い付いて……いやらしいな。加護があってもこれだなんて、これが好きでたまらないんだな」
わざと俺の中を指でゆっくりと抽挿し、意識を向けさせてくる。
グチ、グチ、と。ぎこちないながらも華侯焔の指を滑らせ、締め付ける後孔に目眩がする。気持ち良い。もっと欲しくて腰を揺らしてしまう。
流されたくないのに、身体が悦んでまうのを抑えられない。
指だけじゃ足りない。下を繋がり合うだけでは満たされない。
思わず華侯焔の背にしがみつき、唇を薄く開いて口づけを誘えば、華侯焔が焦らさずに口づけてくれる。
夢中で唇を睦み合わせている中、グッと華侯焔の熱い昂りが俺の後孔を押す。
一度だけ、息苦しい圧迫感が広がる。だがすぐに俺の肉壁は華侯焔を呑み込んでいく。
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