●見せたい真実

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●見せたい真実

   ◇ ◇ ◇  目覚めても俺は、快楽の底に沈められたままだった。 「ぁぁ……ん、む……っ……ッッ、あっ、ぅ、あぁぁ――」  ゲームを始める直前は、東郷さんに組み敷かれて喘がされていた途中だった。  だからセーブをして現実に戻れば、散々あっちの世界で抱き潰された身体を、東郷さんによって暴かれてしまう。  すぐにローションを後孔に塗られ、柔らかいままの中へ東郷さんの昂りを捩じ込まれ、目覚めて数分も経たずに絶頂を叩きつけられる。  それで終わるはずもなく、東郷さんの唇は俺の口を執拗に舐めながら、抑えられない嬌声を垂れ流しにしながら奥を揺さぶり続ける。  あっちのものは現実に来る時に消えてしまう。だから催淫効果のある軟膏や、華侯焔にだされたものは、俺の中には残っていない。  だが、身体の状態はそのままだ。  度重なる絶頂で快感しか感じられない、淫らな獣と化した身体。  東郷さんに四つん這いにされて責められても、力が入らずうつ伏せた状態で深く揺らされても、悦びの声を力尽きるまで漏らす。  何もかもが緩く、強さの欠片もない者に成り果ている俺を、東郷さんは中を責め続けながらも甘い声をかけ続ける。 「誠人……その姿を、ずっと見たかった……手に入れたかった……愛してる。どれだけ変わり果てても、誠人は、誠人のままだ……」  俺をこんな身体にした、ひどい人。  なのに想いは痛いほど伝わってきて、嬉しくて、何をされても悦んでしまう。  いつしか互いの汗が身体を滑らせ、全身で快楽を掻き集めていく。  気づくと俺は東郷さんと向き合いながら身体を起こされ、対面で座りながら繋がり合っていた。  ビクン、ビクン、と突かれる度に中を締め付け、大きな脈動を繰り返し、俺は快感に呆ける。  力が入らない俺に代わり、東郷さんは俺をしっかりと抱擁し、腰を突き上げ続ける。  どうしてここまでするのか、何も見えてこない。  それでも強引に心まで結びつけてこようとする東郷さんが、なぜか痛ましいような気がして、俺はそっと頬を擦り寄せた。 「すき、で……とう、ご……さ……っ……」  上手く呂律が回らず、声も途切れ途切れ。そんな俺が情けなくも意思を伝えると、東郷さんは力を強めて俺を腕に閉じ込める。  異世界と現実、両方で俺は裏切られているはずなのに、愛しさがどこまでも募っていく。  それがおびただしい快楽のせいか、俺への想いだけは間違いなくあると信じられるせいか。今の俺には分からなかった――。
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