深まる謎

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 もし俺がゲームをしていなければ、皆と同じようにあり得ないと断言していた。  今だって信じられない――だが、実際に身をもって経験してしまった。あれをなかったことにすることも、夢だったと思うことも、俺にはできない。  俺が知る中でゲームのことを認識しているのは坪田だけ。  夜になる頃には怒りの熱は冷め、焦燥感だけが俺に募った。  有益な情報が何も掴めない。  ゲームのことも、坪田のことも……こんな事態になるなら、安易にゲームへ手を出すべきではなかったと頭を抱えてしまう。  寮の自室へ戻れば、机の上に黒いVRのゴーグルが置かれているのが視界に入り、背筋がゾクリと震える。 「……なんなんだ、これは……っ」  思わずゴーグルを掴み、窓から投げ捨てたい衝動に駆られる。  だが、脳裏にゲームを中断する時に出てきた文字が過ぎり、俺を思い留まらせる。 『中断の場合は、現実時間で七十二時間以内に再ログインしなければ、強制的に敗者となりますのでご注意下さい』  ゲーム内で敗者になれば、相手の奴隷になってしまうと聞いている。  ならばゲーム外で敗者となったら? ――まさか何者かの奴隷になってしまうのか?  考えるほどに怖くなってしまい、俺はゴーグルに背を向けて眠りについた。
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