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覚悟を決めて
翌日も坪田の姿はなかった。
柔道の練習のために部室へ顔を出したが、そこにも姿は見当たらず、行方を知る者はいなかった。
どこか旅行にでも行っているんじゃないか。
実家へ帰っているんじゃないか。
二股がバレて逃げているんじゃないか。
憶測ばかり聞こえてくるが、誰も確かな居場所は知らない。
元々、坪田とは友人と呼べるほど親しい間柄ではなかった。
坪田は満遍なく声をかけるタイプで、単に同じ部にいるから俺に声をかけていると思っていた。
なぜ俺にあのゲームをやらせた?
行方を探るほどに疑問が浮かび、どれほど練習に打ち込んでも心が晴れることはなかった。
日が沈み、食堂で腹を満たしてすぐ部屋へ戻り、俺はVRのゴーグルを手にしてベッドへ座った。
手元の黒いゴーグルをじっと睨む。
まだ猶予はある。ギリギリまで坪田の行方を探したいところだ。
だが事情を聞いたところで、すぐに問題が解決するとは思えない。
坪田の行方が分からない今、取っ掛かりはこのゲームしかない。
ようやく一勝することができた弱小の領主。
勝ち続けるには華候焔の力は欠かせない――俺の体を褒美にしながら、戦い続けるしかないのか……。
あんなに長々と貪られ、快楽を詰め込まれ、俺を壊していく行為を続けるなんて。
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