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俺の理性が、男に組み敷かれることを全力で嘆く。
しかし体の奥がジン……と疼き、華候焔を恋しがる。
たった一度の関係でこの調子だ。二回、三回と続けば、今より体が華候焔に囚われるのは目に見えている。
『待っているぞ、誠人……もうお前は、逃げられない……』
こっちへ戻る前に聞いた華候焔の最後の言葉を思い出す。
華候焔……分かっていてやったんだな。薬まで使って俺に過ぎた快楽を教え、ゲームから離れられないように仕込んだのか。
現実まで華候焔の手の平で躍らされている。それが悔しくて俺は歯軋りしてしまう。
この二日でよく分かった。
俺はこのゲームからも、華候焔からも、逃げ出すことはできない。
それなら挑み続けるしかない。
こんな理不尽なゲームに負けぬ力を――華候焔に踊らされぬ力を手に入れてみせる。
ゆっくりとゴーグルを装着し、側頭部のスイッチに手を伸ばす。
電源を入れる瞬間、また華候焔に会えると思ってしまう。
その途端、体の奥の熱がカッと上がり、小さな脈動を覚える。
早く迎えたくてたまらない。
そんな体の声に耳を塞ぎながら、俺はスイッチを入れた。
ツゥン――。
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