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──母さんの遺品を整理をしていると、この日記帳を見つけた。
その日のことを、私も鮮明に覚えている。妹の文香が、文鳥と交換に捕られてしまった日のことを。
文香がいなくなった時、何てことをしたのだろうと心の底から後悔した。
そして今、それ以上に後悔している。
「母ちゃん、ただいま……」
上の息子が泣きそうな表情で、夜遅くに帰ってきた。
鳥籠に、小さな九官鳥を入れて。
ことりの集会なんて、探すんじゃなかった。妹がいなくなればいいなんて、あんなこと、思わなければ良かった。
あの神社にいた、男の子の話さえ聞かなければ良かった。
──僕、ずっと一人だから、兄弟がいるのが羨ましいな。
──私は妹がいるけど、煩いし、嫌い。君にあげたいくらい。
──本当に?
──うん。妹なんていらない。
──分かった。ありがとう。そういえばね、金曜日の夕方にはね……。
どこからか、あのときと同じ歌声が聞こえる。
みたな、みたな
ことりの集会
きいたな、きいたな
ことりの集会
とった、とったぞ
約束どおり、もらったぞ
お前のこどもをもらったぞ
どこかで、あの男の子の笑い声が聞こえた気がした。
了。
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