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鳥籠を拾いに行った姉は、なかなか戻ってきません。
私はその場から動きませんでした。姉がそこで動かないようにと、指示をしていたからではありません。
私はそのとき、姉が早く小鳥にならないかと期待していました。
姉は私を小鳥にするつもりだったみたいですが、私は事前にそのことを知っていました。
こっそり姉の日記を読んで、『ことりの集会』のことを知っていたからです。
姉が私を小鳥にしようとしている事も全て日記に書いてありました。
だからワザと躓いて、鳥かごを林の奥へ放ったのです。
姉が小鳥になってしまえばいいと、その時は本気でそう思いました。
でも、少し後ろめたさも感じていました。
本当に小鳥になってしまうなんてことはないと、心のどこかで信じていました。
姉の向かった方をじっと見ていると、しばらくして、地面の方から鳥の鳴き声のようなものが聞こえてきました。
恐る恐る見にいくと、そこには落とした鳥籠と、その中に小さなカナリアがいました。
姉の姿はどこにもありませんでした。
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