1人が本棚に入れています
本棚に追加
私は姉が本当に小鳥になってしまったのだと思いました。
怖くて怖くてたまらなくなりました。早く帰って、父と母にこのことを伝えなければと思った、その時です。
「やあ、待ってたよ」
頭上から、そんな声が聞こえました。
子どものような、高い声でした。
誰かいるのかと、声のした方を見上げると、そこには何十羽もの鳥が、私のことを見下ろしていました。
小鳥なんかじゃありません。真っ黒の、烏よりも大きい、気味が悪い鳥でした。
私は足が竦んでいたのか、その場から動けませんでした。
そうしていると、鳥達は一斉に歌い始めました。今でも鮮明に覚えています。
みたな、みたな
ことりの集会
きいたな、きいたな
ことりの集会
いつか、必ず、とりにゆく
きっと私も小鳥にされてしまう。
そう思い、目を瞑りました。しかし、いつまで経っても何もありません。
恐る恐る目を開くと、私は人間のままで、鳥達は消えていました。
私はカナリアの入った鳥籠を抱えて、泣きながら、その場を逃げ去りました。
家に帰ると父と母にひどく怒られました。帰宅したのはもう日も暮れていて、夜遅くだったのですから当たり前です。
そして母に「加奈はどうしたの?」と、姉のことを尋ねられました。
私は姉のことを伝えようとしました。
しかしそのとき、父が言いました。
「加奈って、誰だ?」
最初のコメントを投稿しよう!