ことりの集会

9/9
前へ
/9ページ
次へ
     ──母さんの遺品を整理をしていると、この日記帳を見つけた。  その日のことを、私も鮮明に覚えている。妹の文香が、文鳥と交換に捕られてしまった日のことを。  文香がいなくなった時、何てことをしたのだろうと心の底から後悔した。  そして今、それ以上に後悔している。 「母ちゃん、ただいま……」  息子が泣きそうな表情で、夜遅くに帰ってきた。  鳥籠に、小さな九官鳥を入れて。  ことりの集会なんて、探すんじゃなかった。妹がいなくなればいいなんて、あんなこと、思わなければ良かった。  あの神社にいた、男の子の話さえ聞かなければ良かった。  ──僕、ずっと一人だから、兄弟がいるのが羨ましいな。  ──私は妹がいるけど、煩いし、嫌い。君にあげたいくらい。  ──本当に?  ──うん。妹なんていらない。  ──分かった。。そういえばね、金曜日の夕方にはね……。  どこからか、あのときと同じ歌声が聞こえる。    みたな、みたな  ことりの集会  きいたな、きいたな  ことりの集会  とった、とったぞ  約束どおり、もらったぞ  お前のこどもをもらったぞ  どこかで、あの男の子の笑い声が聞こえた気がした。 了。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加