ことりの集会

1/9
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
〇月×日 日曜日  ことりの集会は、金曜日にあるんだそうです。  地区の集まりで、神社で花火をしたときに、知らない男の子が言っていました。  その子は、電線に止まっていた鳥にフンをかけられちゃったらしくて、それからずっと、電線の下を歩くときは、上に鳥がいるかどうか見るんだそうです。  そうしていたら、金曜日の夕方は、電線に、いっぱい鳥がとまっている日があることに気がついたそうです。  その子はそれを『ことりの集会』と言っていました。  わたしは男の子に、それってなに?って聞きました。  男の子は、ネコの集会みたいなものかもしれない、と言いました。  わたしは、ネコの集会ってなに?って聞きました。  ネコの集会は、ネコが人の知らないところで、夜に集会をしているという話でした。  それを見てしまった人はネコにされて、ネコだけの世界につれて行かれて、もう人の世界には戻ってこれないのだそうです。  男の子は、その『ネコの集会』みたいに、『ことりの集会』も、小鳥たちが集まっていて、それを見たら、小鳥にされちゃうんじゃないか、と言っていました。  わたしは、こわかったけれど、ちょっとおもしろいな、とも思いました。 〇月△日 水曜日  今日、わたしは、妹とケンカをしました。  妹なんて、キライです。  わたしは、妹なんて、もういらないと思いました。  そこで考えました。妹を小鳥にしちゃえって。 〇月♢日 木曜日  妹に、あやまるふりをして、『ことりの集会』の話をしました。  でも、小鳥にされてしまうかも、なんて言いません。  わたしは、集会に行くと、好きな小鳥を一羽もらうことができるんだよ、とウソをつきました。  妹は、ずっとペットをほしがっていたので、そのことを信じて、ことりの集会を見たいと言いました。 〇月✳︎日 金曜日  妹に丸い鳥かごを持たせて、わたしたちは学校が終わったあと、鳥が集まる電線をさがしました。  でも今日は見つかりませんでした。  また次の金曜日にさがしてみます。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!