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俺と彼女の分岐点
***
カッと目を見開く。薄暗い闇の中。
見慣れた天井。明るくなったカーテン。
――寝室のベッドの上だった。
冷や汗なのか寝汗なのか分からないが、背中にモワッとした嫌な湿気を感じる。
やはり、夢だった。
ならば、あれは事実ではないのか。
父さんがバツイチだってことは本当か?
母さんの前に他の女性が――。
両親の歳の差は十。俺たちは十二。
置かれた立場が近いなら、俺たちの結婚に理解を示してくれるかもしれない。
この夢を見たことに何かの意味があるように思える。曲がったことが嫌いな父さんは何事も筋を通せと言う。だから夢を通して、俺の覚悟が足りないと言われたような気もした。
だがこの想いに揺らぎなどない。
優香のご両親にも理解してもらえるように、しっかり伝えなければならないと、改めて心に誓う。
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