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――ピーンポーン。
相も変わらず、必要以上に大きな音がする。
実家のインターフォンは壊れているのか、年々音が大きくなっている。
来たことを知らせるために一度だけ押して、玄関の引き戸を開けた。
「いらっしゃい~」
よそいきの高い声とこぼれんばかりの笑顔を作った母さんが、廊下の奥から小走りで近付いてくる。
「母さん、こちらが優香さん」
「初めまして。山田優香と申します。本日はお時間をいただきまして、ありがとうございます」
「初めまして。会いたかったわ、優香さん。瞬から聞いていた通りの素敵な女性ね。あら、今日は二人だけなの?」
「あぁ。今日は二人で挨拶したくてさ」
「そうだったの。どうぞ、上がって」
母さんに促されてぎこちなく靴を脱ぐ。
その優香の表情はガチガチに固まっていた。
『リラックス』
目を合わせて声に出さずに言った。
そして優香の背中に優しく手を添える。
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