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「優香と、結婚したいと思っています。来週、優香の実家に行った後、籍を入れます」
「おめでとう⋯⋯」
母さんが口火を切る。
目を潤ませていた。
「⋯⋯優香さんのつらさや苦しさも背負う覚悟があるんだろうな。生半可な気持ちや中途半端な考えで物事と向き合うもんじゃない。その覚悟があるのか、瞬」
黙っていた父さんがようやく口を開く。
夢で見た、じいちゃんの言葉。
そうか。父さん自身がこの言葉を大切にこれまで生きてきたからこそ、俺たちに伝えようとしたんだ。
背筋を伸ばし、両親二人を見つめる。
「覚悟はあります。結婚するとしたら、彼女以外に考えられません」
真剣な眼差しを向けて、淀みなく伝える。
迷いなんてどこにもなかった。
すると父さんの口元が緩む。
「優香さん。瞬をよろしくお願いします」
父さんが真っ白な頭を深々と下げる。
「⋯⋯よろしくお願いいたします」
恐縮する優香も、テーブルに額がついてしまうくらい深く頭を下げた。
その光景に胸がいっぱいになる。
母さんは顔を覆って泣いていた。
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