夢として見せたもの

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夢として見せたもの

*  実家へ行く日の前夜。  優香は大きな独り言をこぼした。 「やっぱり緊張するなぁ⋯⋯」 「大丈夫だよ、優香なら」 「瞬のご両親とちゃんと話せるかな」 「緊張していても優香の人柄は伝わるよ」 「次の週末は私の実家だもんね」 「俺も緊張するなぁ~」 「顔引きつらせないでね」 「こんな?」 「ふふっ」  変顔をして優香の緊張をほぐす。  まず俺の実家へ行ってから、来週末には優香のご両親の所で結婚の挨拶をする予定になっている。  優香は「山田(やまだ)から山崎(やまざき)に変わってもイニシャルは同じままだね」なんて言いながら、感慨深そうに微笑んだ。 ――その夜は蒸し暑くて、深夜になっても寝付けなかった。  優香は隣で小さな寝息を立てている。  はだけた優香の布団を掛け直してから、エアコンの温度を少し下げた。  するとスーッと、どこか遠くから忍び寄るような眠気が襲ってくる。それに身を任せるように目を閉じた。
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