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再び意識が戻って、目に景色が映る。
どれぐらい時間が過ぎたのだろう。
やはり寝付けなかったのか。
――いや⋯⋯寝室じゃない。
慌てて周囲を見回すと、なぜか夕暮れ時の田舎道にポツンと立っている。
青々とした稲穂が揺れる田んぼと赤く染まり始めた空。人の気配はない。
だがこの景色には見覚えがある。
母方の祖父母の家の前だった。
なぜ、俺はここにいるのだろう。
誰かに連れてこられたのだろうか――。
「あの、すみません。ちょっといいですか?」
肩を叩かれ、低い声がする。
振り向くと長身の男性が立っていた。
見覚えのある顔だった。
いや、まさか――。
知っているなんてレベルじゃない。
そうだ。古いアルバム、そのままの顔。
反射的に体を少し引くと、その男性は横を通り過ぎて門に向き合う。
それから肩を上げるくらい大袈裟に深呼吸すると、目の前のインターフォンを押した。
「こんにちは。山崎です」と、滑舌のいい声が田園風景に響く。
その男性は――父さんだった。
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