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実技教習こんな具合
そんなゆるい学科と並行して、さァ、きびしい実技教習だ。
教官が助手席に着いてくださる車に乗り、ハンドルを握ります。
や、それはあたりまえか。
しかし最初は、場内、と云って車校の敷地内のゴーカート用コースみたいのを走るだけでも、本当にビビりました。
教習車は教官の席にもブレーキがあるっつっても、もう緊張の連続。
えーと、アクセルとブレーキがこれで、あ、エンジンかかってる、教官のGOサインがでたぞ、ブレーキペダルから足はなしたぜひいィィ動いた! あ、クリープ現象? これがですか! 五〇キロくらい出してみましょうね、て、なんスかあんた! つかハンドルの持ち方おかしい、て、え、これだめなの?!
‥‥まァ、こんなんスよ。
第一段階は。
思えばあっと云う間に終わったな。
しかしそれでも、教習のたび変わる教官様方のお言葉に、思い返せばなかなか愉快なモノがありまして。
ちょっとしたヘマした。
「みんなそうですよ」
二コリ。
だいぶヤベェことした。
「慣れてますから」
二コリ。
なんかすみませーん!
「これでメシ、喰ってますから」
ため息に似た吐息。
ふたつめのヤツんときが、一番怖かったです。
教官は何人もいらっしゃるのがランダムに変わるので、同じ方にあたったら、こないだは失礼しまして、とか、失敗の弁解の余地がありました。
成績にはほぼなんの影響もありませんが、ヒトとして礼儀として助かりました。
で、そだ、ヒトの名前や顔を覚えるのがだいぶ苦手な私が楽しんでたこと。
さー、このタイプの教官何人居るかな? てことス。
二、三十代くらいで黒髪短髪、眼鏡、教官用の制服の着こなしもほぼ一緒、マスクから見える顔つきから背格好までそっくりすぎな、このパターンの男性教官いったい何人居るんだろう?
て、ちょっとしたあてっこゲームをしてました。
少なくとも三人は居たかと思われます。
いまだに確かなことはわかりませんが。
ところで誰でもそうかもですが、私は、頑固でイヤミで怒ってばっかいるようなおっさん教官が居たらどうクリアするかにいちばんビビッておりました。
私を担当してくださった教官の方々らはみなさん二〇代かいってても四〇代くらいで、わかりやすく教えてくださる方ばかりでほっとしていたものの、やっぱ、居た。
おふたりほど、まさにそれ! みたいなのに当たりましたよ。
第一段階と第二段階で一回ずつ当たったひとりと、第二段階でのみ当たったひとりと。
これについてはのちのち語ります。
まだまだ運転慣れなくて周囲の確認がおぼつかない、第一段階。
ちょっとこれ覚えとくといいかも、な、しかしどうでもいいようなちょいネタがございます。
場内において、デカい車は壁。
です。
大型トラックやバスの教習も、やはり初期は場内を走ってまして、私はとにかくこれをしょっちゅう見落としていました。
「吉井さーん、トラック居ますトラック」
と、教官にブレーキ踏まれることが多々。
だって障害物の壁とトラックやバス同じ色なんだもん!
あと大きさもほぼ一緒!
「わ、すみません!」
と、いいわけの本音を飲み込んだすえにそれだけ口にしてひいひいやってました。
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