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選択肢をあなたに
ミルクに触れられなかったゼリーだけが汚く残されたように、私の拠り所を失った怒りの灯火は、静かに消えかけた焔を辛うじて燃やしていた。
私は、ひどく落ち込んだが、それを表面に出す訳にはいかなかった。最後の抵抗? それとも、私の小さなプライドなのだろうか……
圭介が戻ってきたあと、私は前もって用意しておいた自作のイラスト集と黄色い薔薇を二人の門出としてプレゼントした。
こんなものをあなたたちにプレゼントするなんて、おかしいわよね。でもね、強がりかもしれないけどこれが精一杯の、私からの祝福のつもりなの。
たわいもない絵だけど、私なりに試行錯誤したのよ。どんな絵にしようかとても苦労したわ。あなたたちに似合うイラストなんて、そうそう見つからないもの。
何せ、「あなた」と口に出そうになってしまうのだから、未練がないと言ったら嘘になる。
きっと、二人にとっては要らないものだと、すぐに捨てられてしまうかもしれない。でも、これが私なりの優しさだと、圭介には気付いて欲しかった。
このイラスト集は、私の心を込めたものだから……
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