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さくらを何があっても手離さない。
何度も何度も、俺は心にそう誓った。
そして、俺自身も初めての味わう最高の瞬間に身も心も尽き果てる。
生きているうちに、天国へやって来たみたいに。
「専務… 今日は、お仕事は?」
俺達はちゃんとキングサイズのベッドの上で寝ている。
昨夜、いや、早朝に、俺達は何度も身体を重ね合わせて、その都度、尽き果てた。
昂る感情と身体的な疲労が重なって、俺もさくらもぐっすりと眠っていた。
いや、待てよ…
俺はシーツの中からゆっくりと顔を出した。
「今、何時?」
「七時半です」
俺はそっと胸を撫でおろす。
今日は、朝の十一時から、大切な会議が入っていた。
七時半なら、まだ余裕で間に合う。
隣でジッと俺の顔を眺めているさくらを、当たり前のように強く抱きしめた。
「大丈夫、余裕で間に合うよ。
起こしてくれてありがとう」
さくらは泣きそうな顔をしている。
俺はその表情を見て、やっとさくらの心情を察する事ができた。
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