慈恩の艶めく本能

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「もう、早くシャワーを浴びてください。 本当に時間がないですよ」 「はい…」 寂しい…  寂しいけれど、さくらはこの家に居てくれると言う。 俺はその約束だけを支えに、渋々とシャワー室に入った。 熱いシャワーを浴びながら、唱馬の事を考える。 きっと、今日、唱馬は俺を訪ねて来るだろう。 「さくらを返してほしい」 俺はボディソープまみれの体を洗い流し、今度は冷たい水のシャワーを頭から浴びる。 唱馬には悪いけれど、今の俺には話し合う意義すら見つからない。 俺はすばやく体を拭いて腰にバスタオルを巻き、さくらの待つリビングに向かった。 出掛ける前に、さくらにもう一度キスをする。 出来る事なら、長くてこってりとした極上のキスを。
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