残像

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「命懸けで愛される、ってのもロマンだよなぁ」 「え~、それって怖くない? 一歩間違えばストーカーじゃん」  俺の軽口に、(こずえ)は呆れたような声を上げた。 「もちろん一方通行ならそうだけどさ。互いに愛情があれば別じゃないか?」 「……まあホントに『命懸けます』じゃなくて、それくらい好き! って例えならね」  そんな会話を交わしたのは一年くらい前、俺の部屋でだった。  梢とは結婚するつもりでいたんだ。三か月前、俺の職場にが入ってくるまでは。  一生梢だけを愛して行くって自信持って言えた俺はもういない。俺は急激にあの子に惹かれて行って、……とうとう関係を持った。 「嫌よ、絶対別れないから!」  昨夜梢の部屋で、俺が切り出した別れ話に取り乱した彼女。だけど、俺の気持ちはもうお前にはないんだよ。  散々泣いて喚いてた梢はようやく諦めた、らしい。夜遅く話を打ち切るみたいにして帰った俺に、メッセージを寄越したんだ。 『サヨナラ。命懸けるくらい好きだったよ』  仕事終わりにメッセージを確認し、俺はホッとして帰途に就く。
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