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珍しく俺から話しかけた。
レオンは巻き込まれた戦争で両親を失い、弟と生き別れたらしい。
弟との再会を望んでるみたいだ。
再会は現実的には思えない。
コイツも何かに囚われてるのか。
どこか似た匂いを感じてた俺は、レオンに言った。
何かを求めることは、間違っていると。
だがレオンは特に反発することもなく、ただ聞く耳持たずだった。
不思議だった俺は何故反発しないのか聞いた。
するとレオンは言った。
「君の言っていることは一理あると思う。ただ、"何かに囚われていない"生き物なんてこの世にいないと思うよ、僕も、君もね」
言ってる意味が分からなかった。
何も求めていない俺が、何に囚われてる?
考えているうちに、レオンが続けて言った。
「君は何も求めない、ということに拘りすぎて自分の殻に閉じこもって囚われてしまっているんだ。その考え自体を否定する訳じゃないけど、生きていて"楽しい"のかい?」
そう言ってレオンはその場を去ろうとした。
「…!ちょ、ちょっと待ってくれっ!!」
思わず声を荒げた。
心のどこかで、生きる事自体を否定していたことに気付いたからだ。
「お前は…何をしようとしてる?弟と再会するために、何をする!?」
レオンはため息をついた後、言った。
「僕も君と同じで決して欲が強い訳じゃない。弟のことも殆ど諦めてる。けど、僕や君みたいな子供をこれ以上増やしたくない。だからこの国の軍人になって多くの子供を救う。それが偶々"生き残った"今の僕のやりたいことさ」
何でかは分からない。
その時俺は、レオンに対して"死んで欲しくない"という感情が湧いたんだ。
「…手伝ってやるよ」
「え?」
「俺も軍人になって、お前のやりたいこと、手伝ってやる。安心しろよ、俺喧嘩負けた事ねぇから」
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