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【NC601-4-42 RE】
報告と知覚記録のみをのせた仮意識は、亜高速で宇宙の暗闇へと向かっていった。
デイビッドはモーテルの管理人室から小走りで砂漠へ向かい、州で最初に作られたといわれている義体を回収した。それを元の位置に飾り直し、彼は再びハイウェイを目指した。
デイビッドは地球から去るつもりなど毛頭なかった。彼はすでに、自らの本意識がマーキングされていることに気がついていた。やつらの目的は、彼を救出させ、残留人類の滞在惑星を特定することだった。
デイビッドは強く願った。——わたしの願いが届きますように。あのデータを見れば、もはや残留人類に勝ち目がないことがわかるはずだ。あれでもう、無謀な作戦は中止に追いやられるだろう。
わたしを、いや、わたしたちを待っていたのは、絶望と諦観だった。それも、徹底的な……
ハイウェイはどこまでも伸び、無限に広がる地平線と融合していた。この世界が砂漠に覆われてしまったようにも感じられた。
そのとき、黒い塊がハイウェイに沿って、こちらに向かって飛んでくるのが見えた。燃えカスのような見た目をした一群は、距離が近づくにつれ、一羽一羽の巨大さを物語るようにのっそりと蠢いた。
「わたしはこの時を待っていた……」
デイビッドはハイウェイの中央に伸びる白線の上に腰を下ろした。やつらめ、と毒づきながらも、彼はその人工的な硬さに安堵した。
「この上ならしばらく砂に埋もれない。鳥葬にもってこいじゃないか……」
乾いた風が吹いた。デイビッドの独り言は、愚鈍で重圧的な翼の音にかき消された。
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