【NC601-4-42】

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 脳内意識に他人の声が響く感覚を、デイビッドは忘れかけていた。いや、もう記憶から消えていたのかもしれない。輸送機からの呼びかけに、彼ははじめてその文化に触れるようたどたどしく返答した。 「デイビッドだ。場所はわかるか」 「遅くなりました。現在の座標位置にて待機してください」  夜が明ける直前、空は紫に近い色をしていた。昼過ぎから早朝まで、デイビッドはおよそ十時間眠っていたのだ。  彼の義体が残留人類からの呼びかけに答えたということは、輸送機はジャマーの内側、すなわち地球へやってきたということになる。  デイビッドはところどころ塗装が剥げた廊下を歩いた。もう足音に気をつける必要はなかった。 「——まもなく到着します」
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