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客室:中瀬尊
全て終わった。キャプテンとプランナーにつき添われた尊と歌穂は、今晩宿泊することになっている客室へと入った。ふたりとも着ていた衣装はすでに脱いでいて、尊はいつものスーツ、歌穂はワンピース姿だ。
「本日は大変お疲れ様でございました。改めまして、ご結婚誠におめでとうございます」
キャプテンとプランナーが深々とお辞儀をする。
「いえ、大変お世話になりました」
「ありがとうございました」
そろって返事をして頭を下げた尊と歌穂に、キャプテンとプランナーも笑顔になった。
「それでは、我々はこれで失礼いたします」
キャプテンとプランナーが辞した。
尊ははあと息をつき、歌穂はふうと息をついた。ふたりで顔を見合わせる。
「尊さん、お疲れ様」
尊を見上げてふんわりと笑う歌穂が愛おしい。そのまま抱きしめたくなる。だが、披露宴が終わった時に言おうと決めていたことがあった。
尊は、歌穂の肩に両手を置いた。
「歌穂。今日からよろしくお願いします。僕は一生をかけて歌穂を幸せにします」
「はい、尊さん。わたしも尊さんと一緒に幸せになります」
自分を見上げた歌穂の瞳は、誰よりも美しく澄んで見えた。
たまらなくなり、尊は歌穂をぎゅっと抱きしめた。
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