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バスがやってきてバスに乗車する。
前の人が順に乗っていきおっさんに続いて俺はバスに入り込む。
おっさんはなれた感じで乗車券を手に上着をまとめながら席に座る。若い女性に太った男性。若い茶髪のアイドル風の男性に10歳前後のゲームをしている少年。
俺は空いてる席を目指して歩くと、足に何か当たった。
「痛っ!」
「?」
少し髪が白髪混じりの男性がこちらを睨んできた。大きな黒いカバンだ。旅行か?
「…おい、人の足にぶつかったから謝れよ!」
「……失礼ですが、なぜ俺のみが悪い扱いをされているんでしょうか?」
「はぁ!?」
「明らかにあなたの右足は通路幅に対して半分以上を侵食する様に伸びていました。」
「うるせぇな!」
「もう一つ言うと、衝撃はぶつかった物体とぶつけられた物体と同じ力がかかります。つまり俺の足に感じた衝撃と同じ衝撃があなたの足に伝わっているんですよ。硬質物と軟質物。対象の物体の接触面積。更には痛みの感受性。そういった要素によりますが、今回はお互いに意識してぶつかったわけでなく、俺は向こう脛、別名『弁慶の泣き所』とも呼ばれる人体の急所に近い所に感じた衝撃があなたに伝わっていると思うと、そんなに痛くもなく、かつ、十分に予想をして回避できる位置を歩いたうえでの接触となりますので、足を不必要に伸ばしていたあなたにも、幾分か問題があるように…。」
「…出発しまーす。」
「ちぃっ!うるせいな、サッサと座れ。」
バスの運転手の合図で俺と男性の会話は終わった。
この時が11時間36 分。
俺と男性のせいで1分出発時間が遅れていた。
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