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バスはいつもの道を進んでいくようで、1つ目の停車駅。しかしここは客が居ないのでそのまま通り過ぎていく。
大きな国道に出てバスの勢いがついてきた。
その時だ。
あの前にいた肩幅のあるおっさんがゴルフ用カバンから何かを取り出して運転席の方へ。
ゴルフクラブは多分ここじゃ使わないだろう。
そう思った瞬間の言葉だった。
「このバスは俺が乗っ取った!!」
おっさんが持っていたのは身の丈程の刃物でゴルフクラブではなかった。
「おい!運転手!」
「は、はい!?」
「無線や携帯はあるよな?」
「ございますが…。」
「本部でも何でもいい、偉いやつと繋げ!そして…今の状態を連絡しろ!」
「は、はい!?…こちら運転手の早見です!…東山コンサートホール方面行のバスが刃物を持った男にジャックされました!」
おっさんは無線を取り上げた。
「そのまま運転しろ!通常ルートを運転して乗客を他に入れるな!」
「はい!」
「…さて、話は聞いたな?このバスが東山コンサートホールに行って、駅に帰るまでの時間に現金1000万を用意しろ!用意できたら、ここへ連絡してこい!受け取り方法を相談する!それまではバスは走り続ける!
もし、警察でも一般人で何でもこのバスを無理矢理に停車させたりそれに近い行為をしてみろ!乗客を殺す!わかったな!!」
おっさんは声を張り上げた。
「さて、運転手も乗客の皆さんも聞いたな!
メールや電話で外と連絡しようとしてるかもしれんが…。そのせいでバスが止まったら…。自分達が死ぬんだ。行動をわきまえてもらおう。
今の時代だ。
誰か連絡したら直ぐに野次馬が集まるだろうから…自分の助けを呼ぶ行為で寿命を縮めると思ったほうがいい。」
おっさんは作戦通りと言わんばかりの笑みだ。
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