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「…な、何で今日に限ってこんな…。」
女性客は震えている。さっき俺に足をぶつけた男性も急に弱々しくなっている。
「おい、そこの茶髪の兄ちゃんとトンガリ頭。」
おっさんが茶髪の男性と俺に向かっていう。
「トンガリ頭って、俺ですか?」
「そうだ、お前のその頭だ。お前らバスのカーテンを閉めろ!他の奴らは動くな!」
「なぜ、俺が閉めるんですか?」
「俺が他所ごとをしている間に取り押さえられないようにだ。」
「なるほど。」
俺はそう言いながらカーテンを閉めた。
「よし、次だ。茶髪の兄ちゃんはこの袋に乗客のスマホや通信機器を集めろ。ゲームもだ。最近のゲームは簡単に通信できるからな!」
おっさんは麻袋を放り投げた。茶髪の男性は一度睨む様におっさんを見ておっさんの投げた麻袋を拾う。
「そんな、ゲーム位…。」
少年が驚くが茶髪の男性は人差し指で少年を黙らせた。
「今は犯人の言う事聞いたほうがいい。きっとバスのSOSとかで警察がうまく助けてくれるから。」
男性は一言ずつ他の人を励ましながらスマホを回収していく。
俺もスマホ取り出して麻袋へ。
「君?」
「ん?」
「ぶつかった時や犯人の会話。面白いけど、刺激しないほうがいいよ。」
「…。」
俺は男性のウインクを見ながら首を軽くひねった。
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