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「あの日、木村と別れた後、佐竹に会ったんだ。その時、僕がメリーさんの話をしたんだ」
「でも……」木村の瞳が揺れる。大きな瞳に、ぷっくりと涙が盛り上がる。
「だから、木村のせいじゃない。気にするなよ」と、木村の腕を引っ張って立たせる。
木村の膝が細かく揺れている。よく考えてみれば、新メリーさんの話をしたのがぼ僕だとしても、佐竹がメリーさんに「今、どこにいるの?」と聞いた責任は僕にはない。
しかし、都市伝説自体が作り話だと知っている僕にとっては、誰に責任があろうがどうでもいいことだった。佐竹の怪我と、新メリーさんとは関係がないのだから。
僕が木村にほほえみかけた時、「おい。その話、本当か? 詳しく聞くから、二人とも職員室に来い」と体育教師が怒鳴った。
木村の肩がビクッとして、目に溜まっていた雫が、ポロっと落ちた。
「あ」
僕が非難がましくにらむと、「まあ、木村はいいか」と体育教師は目をそらして言った。
仕方がない。僕は体育教師の後ろについて、職員室に入った。
「新メリーさんの都市伝説って、どんな話なんだ?」
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