聞いてはいけない

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 話してもいいのは三人まで。そんな少ない枠を使ってまで、教師に話をする奴はいなかったのだろう。ほとんどの生徒が知っているが、教師は誰も内容を知らなかったらしい。  僕は「ここではちょっと」おびえているふりをして言った。大勢の教師がいる職員室で話せば、新メリーさんなどいないということがばれてしまう。4人以上にメリーさんの話をしたからといって、僕に災いなど起きるはずがないのだから。 「先生ひとりだけになら、話してもいいですよ」と言うと、体育教師はイライラと机を人差し指で叩いた。「新メリーさんなんか、ただの都市伝説だろうが!」 しかし僕は口を開かなかった。 「しょうがねえな。じゃあ、こっちに来い!」と、職員室の隣の会議室に連れていかれた。 「先生、佐竹の怪我が新メリーさんのせいじゃないなら、僕が佐竹に新メリーさんの話をしたことと、怪我とは関係ないんじゃないんですか?」と、低姿勢ながら、僕に責任はないのだから、怒鳴られる筋合いではない、とにおわせた。
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