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失礼だな、と思いながらトラブルを避けて、佐竹の望んでいる答えを無難に返したはずなのに、ずいぶんしつこい。
佐竹の顔をチラッと見て、なるほど、と納得した。佐竹は木村が好きらしい。恋する男の気持ちも分かりやすすぎる、と僕はため息をついた。
「ああ。まだあまり知られていない新しい都市伝説の話を知ってる? って聞いたら、食いついてきて。だけど、実際に話したら、意外と怖がりだったみたいでさ」とつまらなさそうに肩をすくめてみせる。
僕も木村に気があると勘違いされると厄介だ。
「へえ。新しい都市伝説? なにそれ?」と、佐竹は目を輝かせた。
どうやら新しい都市伝説を聞いて、木村と話すきっかけにしようとでも思っているのだろう。
「どうしようかな……」
「なんだよ、もったいぶるなよ。早く話せ」
「いや、もったいぶっている訳じゃないんだよ。この新しい都市伝説を四人以上に話すと呪われるんだ」
「え……。そうなのか? それで、木村は何人めだったんだよ?」
「一人目」
「なんだ。じゃあ、俺で二人目だろ? まだ大丈夫じゃないか。教えろよ」
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