聞いてはいけない

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「『今、どこにいるんですか?』って聞いてみたらいいんじゃないのか?」 「ああ。つい聞きたくなるだろう? どのくらい近くにいるのか気になるしな」 「まだ猶予があるのか、とか。逃げる方角はどっちに行こうか、とか知りたいし」 「でも、聞いたらダメなんだ。他の質問はなんでもしてかまわない。だけど居場所だけは聞いてはいけない」 「聞くと、何が起こるんだ?」 「『迎えに来て』っていうらしい」 「え。それで、その場所は?」 「さあ……。居場所を聞いて生き残った人はいないのかもな。とにかく『今、どこにいるんですか?』って聞いてしまったら、呪われる」 「ただの都市伝説だろ?」 「だろうね」 「居場所を聞かなければいいんだろ?」 「そうだな」 「でもなんだか……気味が悪いな」 「あと、繰り返して言っておくけど、この話を四人以上に話してはいけない」 「四人以上に話しても呪われるんだな」 「そうらしい」 「気味が悪い話だな」 「うん、まあ……。だけど都市伝説、ってそういうもんだろ?」  じゃあな、と佐竹に手を振って別れた。これで佐竹も誰かに話すだろう。僕は腕で口を隠して、クククッと笑った。
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