四十九日法要前夜

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私の名前は『咲空(さくら)』、静岡の高校を卒業後東京に上京してお笑い芸人をやっている25歳だ。 私は同じ高校の同級生だった『明璃(あかり)』と一緒に高校卒業後18歳で上京して芸人養成所で学び、卒業後はフューチャープロモーションという芸能事務所に入って私たちはコンピを組んで漫才師として活動している。 私たちはまだまだ売れっ子芸人とはいえないけれど、2人で頑張って少しずつイベントやテレビに出演することができるようになっていた。 しかし経済的には苦しい状況が続いていて、25歳になった今でもお互いにアルバイトをして何とか生計を立てている。 明璃と私は高校生の頃から仲が良く、生活が苦しい私たちは東京に上京してから都内のアパートに一緒に住みながら家事を分担して仲良く生活している。 明璃はとても明るくて元気が良く男勝りな感じではあるけれど、根はとても優しくて思いやりがある女性だ。 そんな明璃のことを私は高校生の頃から好きだと思っていて、この感情は友達として好きということであって、男性のことを好きになる恋愛感情とは違うと思っていた。 寒さが厳しさを増す12月初旬のある日、私は高熱を出して寝込んでしまった。 明璃が私に付き添って病院に連れて行ってくれて診察を受けたところ、医師からインフルエンザにかかっていると言われ薬を処方してもらった。 私は明璃にインフルエンザをうつしてしまっては申し訳ないという気持ちはあったけれど、その日の夕刻以降熱が40度を超えてしまって意識がもうろうとしていた。 そんな時明璃は私につきっきりで看病してくれて、水枕の氷や熱さまシートを交換してくれたり、私が食べやすいようにお粥を作ってくれたりした。 私は2日間ほど寝込んでしまったけれど明璃の献身的な看病のおかげで、3日目にはだいぶ熱が下がって楽になった。 そんな明璃に私は心から感謝していて、私にとって明璃はなくてはならない存在になっていた。 明璃と私はなかなか芸人として売れなかったため、そろそろ将来のことを真剣に考えなければならない時期に来ていると感じていた。 私達と同じ高校の同級生は安定した仕事についていたり、結婚して子供ができて幸せな家庭を築いたりしている友達もいる。 そんな中で明璃と私は、いつまでこの生活を続けるのか悩んでいた。
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