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しかし。今回帰省したにはわけがある。明日小学校で行われる記念式典で、卒業と同時に埋めたタイムカプセルを掘り起こすことになっていたからだ。こっ恥ずかしいブツの回収に努めたかった。
あんなもの、世に放り出されたら生きていけない。生きていけるひとがいるならお目に掛かりたい。
そんな事情で、明日の記念式典に出るべく、駅前のホテルに宿をとった。合わせて開かれる同窓会も参加することにした。それをどこからか母は聞きつけたのだろう、居酒屋の前でラスボスのごとし、私を待ち構えていた。
私にだって恋人がいなかったわけじゃない。でも結婚に夢を持てなかったのだ。
そりゃそうだろう、こんな母を見て、結婚が幸せだととても思えなかった。中年太り、白髪、量販店の服(しかも前に流行ったタイプ)。学級委員長だった父はラスボス母の尻に敷かれているし。
それに。
「わかったわよ。お見合いする。だからどいて」
「二言はないね」
「ないない」
「2度言った」
「大事なことだから」
明日3時、実家に来い、とだけ言って母は去っていった。嬉しそうに。
スキップかよ。
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