水色のレターセット

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両親が狙ってるのはそこか。ヤケに笑いやがって。 スタッフがドアに手を掛ける。 観音開きになったそこはまぶしいくらいのシャンデリア。 優雅なクラシックのBGM。 私はクラクラした。それはシャンデリアのせいでも振袖の帯がきついからでもない。 だって、そこに現れたのは長身の男性。見覚えがある。 「そ……」 「待ってたよ結子」 そこにいたのは宗太だった。背は更に伸びて、髪も伸びて、学ランだった服は3つボタンのスーツに変わり、白の運動靴は黒の革靴になっていた。 ほんの少し、はにかんで。 少年から青年になっていた。 「なななな、なんで?」 「見合いだから」 「なんで宗太なの?」 「だから見合い」 「二度言った」 「大事なことだから」 「そうじゃなくて」 「おばさんに何度も頼まれてたし、結子とのお見合い」 「なんで」 「初恋引きずってるって」 「そんなこと!」 そもそも私の初恋が宗太だと誰にも言ってないのに。 振り返り、後ろにいた母を見る。相変わらずニヤニヤと笑っている。まさか私が宗太を好きだったと知って宗太を呼んだ? なぜ知ってるの、母が。 「まさか見たの? タイムカプセル!」 「知らない。タイムカプセルは今日掘り出したんだろ。母さん知らない。ってか結子、認めたね。ぐふふふ」 「み、認めてなんかない!」
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