23人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
両親が狙ってるのはそこか。ヤケに笑いやがって。
スタッフがドアに手を掛ける。
観音開きになったそこはまぶしいくらいのシャンデリア。
優雅なクラシックのBGM。
私はクラクラした。それはシャンデリアのせいでも振袖の帯がきついからでもない。
だって、そこに現れたのは長身の男性。見覚えがある。
「そ……」
「待ってたよ結子」
そこにいたのは宗太だった。背は更に伸びて、髪も伸びて、学ランだった服は3つボタンのスーツに変わり、白の運動靴は黒の革靴になっていた。
ほんの少し、はにかんで。
少年から青年になっていた。
「なななな、なんで?」
「見合いだから」
「なんで宗太なの?」
「だから見合い」
「二度言った」
「大事なことだから」
「そうじゃなくて」
「おばさんに何度も頼まれてたし、結子とのお見合い」
「なんで」
「初恋引きずってるって」
「そんなこと!」
そもそも私の初恋が宗太だと誰にも言ってないのに。
振り返り、後ろにいた母を見る。相変わらずニヤニヤと笑っている。まさか私が宗太を好きだったと知って宗太を呼んだ?
なぜ知ってるの、母が。
「まさか見たの? タイムカプセル!」
「知らない。タイムカプセルは今日掘り出したんだろ。母さん知らない。ってか結子、認めたね。ぐふふふ」
「み、認めてなんかない!」
最初のコメントを投稿しよう!