お見合いから始まる恋愛結婚

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「じゃあ、私たち同席しなくても2人で仲良くお食事できそうね」 は!? 祖母がとんでもないことを言い出した。 「そうね。実は、こんな年寄りと話すより、若い方2人の方がいいんじゃないかと思って、私たちは別で部屋を用意してもらってるの」 藤城課長の隣の老婦人まで、さらにとんでもないことを口にする。 「いや、おばあさま、それは……」 藤城課長も慌てて口を挟むけれど、老婦人はそのままスッと立ち上がってしまう。 「自己紹介も必要なさそうだから、あとは彰親(あきちか)さんがきちんとおもてなししなさい」 課長の下の名前、彰親(あきちか)っていうんだ。 そんなことを思ってる私の目の前まで来た彼女は、優しく微笑んで私に話しかけた。 「凛華(りんか)さん…でしたね? 女性のもてなし方も知らない無作法な孫ですが、よろしくお願いしますね」 その上品な振る舞いに育ちの良さを感じる。 「いえ、そのようなことは……」 私は表向き否定しながらも、内心、確かに課長が愛想良く女性と話してるところを見たことないなぁ……なんて考えていた。 「じゃあ、妙子(たえこ)さん、参りましょうか」 彼女がそう祖母に声を掛けると、祖母も、 「そうですね。凛華、粗相(そそう)のないようにね」 なんて失礼なことを私に言い置いて、2人仲良く部屋を出て行ってしまった。 困った私が、閉まった襖を見つめて立ち尽くしていると、課長が口を開いた。 「とりあえず、座ったらどうだ」 言ってることは間違ってない。 立ち尽くしてても仕方ないし、これからおいしいお料理が出てくるんだし、座った方がいいのは分かってる。 でも、言い方! 確かに、彼の方が年上だし、上司ではあるけれど、そんな上から目線で言うことないんじゃない? なんて、私は密かに課長のその態度にイラついていた。 けれど、その程度のことで文句を言って喧嘩をするほど子供じゃない。 私は、笑顔で言葉を飲み込むと、 「そうですね。では、失礼いたします」 と、横柄な課長に当てつけるように丁寧に答えて、課長の向かいの座布団に正座した。 「祖母が強引に頼んだようですまなかった。遠慮なく君から断ってくれて構わないから」 相変わらず言葉遣いは気になるものの、自分から断らないところに多少の気遣いを感じる。
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