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「すみません、遅れてしまって。あなた達が転校生でよろしいですね?」
「そうだ」
さくらが俺の前に出て返事をする。
「私は姫路踊〈ひめじおどり〉です。あなたは?」
「俺は狗飼作楽」
「ではそちらのあなたが神崎さんですね」
「…か、神崎…レオです。姫路さん、よろしくお願いします。」
俺は深々と頭を下げる。
「さくら…この人は…?」
「んー、副会長じゃね?」
「なんで?」
「っぽいから」
「何こそこそしてるんですか?行きましょう?」
フッと微笑む姫路さん。でも
「目が笑ってない…」
「え、と」
姫路さんは返答に困っている
「あ、すみません。なんでも無いです気にしないで下さい。嫌な気分になりますよね。初対面の人に…」
「本当だな、あんた目ぇ笑ってねぇや。何無理して笑ってんだよ。」
さくらはフォロー?をしてくれた。
「ありがとうございます。こう言ってくれたのはあなた方が初めてです。私はこの学園の副会長を務める姫路踊…踊と呼んでください」
「よろしく踊。俺もさくらで大丈夫だ」
「俺もレオ大丈夫です。でも俺はせめて踊さんと呼ばせてください。」
「分かりました。よろしくお願いします、さくら、レオ」
すると踊さんはスッと俺に近づく。
「レオって綺麗な顔してますよね。」
「は…」
そして俺の頬をスッと撫でて髪を耳にかける。そして、額へキスを落とした。
「踊!!」
「すみません。さくら、そんな怒らないで下さいよ。この道真っ直ぐ行ってもらっていいです。俺はこの後行く場所があるので」
踊さんはにっこりした顔で消えて行った。
「レオに手、出すなよ。ってレオ?」
「気持ちは分かるけど何でそんな険しい顔してんだよ」
レオは言葉を失っていた。眉間にシワを寄せて、目を見開いて口をきつく結んで。まるで憎いものを見ているように。その瞳の中に悲しさと苦しさが混ざっていて。でも困惑の色もあって…。
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