一章

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「すみません、遅れてしまって。あなた達が転校生でよろしいですね?」 「そうだ」 さくらが俺の前に出て返事をする。 「私は姫路踊〈ひめじおどり〉です。あなたは?」 「俺は狗飼作楽」 「ではそちらのあなたが神崎さんですね」 「…か、神崎…レオです。姫路さん、よろしくお願いします。」 俺は深々と頭を下げる。 「さくら…この人は…?」 「んー、副会長じゃね?」 「なんで?」 「っぽいから」 「何こそこそしてるんですか?行きましょう?」 フッと微笑む姫路さん。でも 「目が笑ってない…」 「え、と」 姫路さんは返答に困っている 「あ、すみません。なんでも無いです気にしないで下さい。嫌な気分になりますよね。初対面の人に…」 「本当だな、あんた目ぇ笑ってねぇや。何無理して笑ってんだよ。」 さくらはフォロー?をしてくれた。 「ありがとうございます。こう言ってくれたのはあなた方が初めてです。私はこの学園の副会長を務める姫路踊…踊と呼んでください」 「よろしく踊。俺もさくらで大丈夫だ」 「俺もレオ大丈夫です。でも俺はせめて踊さんと呼ばせてください。」 「分かりました。よろしくお願いします、さくら、レオ」 すると踊さんはスッと俺に近づく。 「レオって綺麗な顔してますよね。」 「は…」 そして俺の頬をスッと撫でて髪を耳にかける。そして、額へキスを落とした。 「踊!!」 「すみません。さくら、そんな怒らないで下さいよ。この道真っ直ぐ行ってもらっていいです。俺はこの後行く場所があるので」 踊さんはにっこりした顔で消えて行った。 「レオに手、出すなよ。ってレオ?」 「気持ちは分かるけど何でそんな険しい顔してんだよ」 レオは言葉を失っていた。眉間にシワを寄せて、目を見開いて口をきつく結んで。まるで憎いものを見ているように。その瞳の中に悲しさと苦しさが混ざっていて。でも困惑の色もあって…。
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