第3章 賑やかし要因

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『いやあ、理沙ちゃんは可愛いねえ』 『もう……。本当に秀頼さんは昔からお世辞ばっかり……』 『いやいや、俺ずっと理沙ちゃん推しだからね!』 『本当に面白い人ですねえ』 あれ? 明智秀頼というキャラクターが彼女である絵美の目の前で、主人公の妹理沙を口説きはじめて混乱しはじめる。 ちょいちょい不審なシーンが挿入されたが、その答え合わせみたいに鬼畜なシーンが大量に流れはじめる。 しかも秀頼の彼女役はギフトで奴隷にしていたなど、クズゲスなシーンが大量に差し込まれる。 序盤の明るい雰囲気はぶち壊され、主人公が秀頼に殺意を向ける流れになる。 秀頼の性格が、豊臣君の人生を滅茶苦茶にした剣道部の元部長と重なる。 「…………死ね、私が出来なかった復讐をそのクズ男に」 クリックを連打する。 タケルが秀頼をぼこぼこに殴り殺害した。 その後、タケルは理沙を連れて知り合いのいない地に流れ着きイチャイチャして実の兄妹だけど恋人として生きるというビターな最後を迎えた。 「…………、これ絵美殺す必要あった?」 秀頼は死ぬべきクズだった。 絵美も確かにヒロインに笑いながらバケツの水をぶっかけたり、ゲスい笑いを浮かべながらビンタし出したり、タケルを拘束したりと『なんか思ってたキャラと違う』状態にはなったけど、自分と重ねて見ていただけに応援していた。 しかも彼氏に依存していた理由も操られていただけで、絵美の気持ちは一切ないというのがまた泣ける……。 同じ男に依存する同士よ、頑張って欲しい。 まさか、タケルも絵美が川に落ちたのを助けないまま秀頼と会話するのを優先するとか思わないじゃん。 助からないのは確実とはいえ、もっとこう手心を……。 「でも面白いね!そっか豊臣君がはまるのもわかる。ギャップが凄い臨場感を煽る!」 タイトル画面には理沙も含めたヒロイン数人いるので、選択肢次第では違う子とも恋人になるゲームっぽいね。 ジャンルが恋愛ゲームだし。 「…………タイトルに絵美が居ないんだけど」 他にも津軽円とかもタイトル画面に不在である。 この子らとは恋愛できない感じ? 「いや、流石に絵美の扱いは理沙ルートが悪かっただけで、他のルートでは救済されるでしょ」 新しくデータをやり直し、理沙を攻略した時とは違う選択肢を選び直す。 この何気ない選択肢が人生を変えるっていうのは嫌にリアルだなぁ。 私も、美奈子のお願いを断っていたら豊臣君を知ることもなかったので、こんな恋愛感情も抱かなかったはずだしね。 そんな可能性が存在することに鳥肌が立つ。 ーーーーー 『悲しみの連鎖を断ち切り』全ルート攻略しました。 最初の日常シーンからは考えられないくらい凄惨で、衝撃的なゲームであり、面白かった。 「にしても、絵美に救いがない……」 だんだんイラッとするシーンばかりが増えてきて、最終的に秀頼含めまた死んでるくらいにしか感じなくなってきた。 ネットでどんな評価なのか探ってみると、やっぱり明智秀頼が断トツで嫌われキャラクターらしい。 当然というか、妥当というか……。 そこで1つの文章を見付ける。 『セカンドもファイナルも面白いシリーズでした』 「続きあるの!?」 豊臣君がやり込んだゲームを最後まで見届けたい。 それに、私自身が『悲しみの連鎖を断ち切り』にはまりこんでしまった。 世界観に魅入っている。 それからセカンドとファイナルも購入し、パソコンにインストールをした。 「セカンドというか、実質リセットね」 一応続きではあるが、主人公タケルは誰ともくっつかずに、彼女なし。 惨劇は起きていないのか、どのルートでも死亡する明智秀頼も生存している。 彼らが2年生に進級したというノリである。 『おい、秀頼この本見ろよ!』 『おいおいおい、なんだよこの可愛い女はよぉ!?エロいな』 『このアングル神じゃね?それより、秀頼。エロの語源って知ってるか?』 『え?知らねぇな?タケルは意味知ってるのか?』 『昔の人が、絵として露出シーンを描き残していたところから派生して絵露(エロ)になったーー、という話を今考えた』 『妄想かよ!感心しかけたじゃねぇか!バカかおめぇは!?』 タケルと秀頼の会話シーンだが、どんな心境で秀頼はこんなノリノリで日常シーンに溶け込めるのか……。 裏ではタケルの不幸を喜ぶキャラクターの擬態っぷりにドン引きする。 と、まぁ楽しみながら読み進めていくと気付いたことがある。 佐々木絵美出番無くなってるじゃん……。 なんかあからさまな代替えキャラクターが登場してるし、ゲーム会社の裏が見れるみたいで嫌だわ……。 逆に明智秀頼が、若干好感度が上がるイベントも多いのだが、『キレイなジャイアン』みたいで違和感が凄い。 まぁ、クズでゲスなので何回も死ぬキャラには変わりがない。 そのままセカンドをクリアし、ぶっ続けてファイナルもプレイした。 学校に行く、豊臣君へお線香を上げに豊臣家へ訪問する(週一)、『悲しみの連鎖を断ち切り』をプレイする。 私の生活ルーチンはもっぱらこれだけになっていた。
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