悲しいよ

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悲しいよ

「ミチカもね、弟の作った積み木のお城、壊しちゃったの。そしたらお母さんが『わざとじゃなくても壊されたまぁくんは悲しいよ。だからごめんなさいって言おうね』って言ったよ」 「壊されたら悲しい……か」 「そしてね、ミチカもお城治すの手伝ったんだよ」 積み木の城じゃない。漁港の人たちも農家の人達も生活がかかってるんだ。必死にもなるよな…… 俺はこの2日感を振り返ってそんなことを思った。 「わざとじゃなくてもごめんなさいって、良いね」 そう言って頭を撫でると、ミチカは嬉しそうに笑った。 空には満天の星。遠くに聞こえる破裂音。 あの音の下に、助けを求める人がいる。  そう考えるとなんとなく尻の下がムズムズと落ち着かなくなってきた。
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