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最高の誕生日
「行くぞ!」
俺は夜の帳の中、赤々と燃え盛る現場に向かって駆け出した。
「必殺!大・往・生!」
一晩横浜の街を駆け回ったGの魂は、俺の一撃で霧散した。
巨大Gを倒した俺は大声で叫ぶ。
「街を壊してごめんなさい。わざとじゃないんだ。あなた方を救いたかっただけなんだ」
自衛隊機が俺の周りを旋回する。
作戦本部のスピーカーが、最大出力でメッセージを伝えてきた。
「巨大生物討伐、ご協力に感謝します!!」
ああ。良かった。
善意は伝わっていた。
家に戻っても熱が引かない。
否定されていると思っていたときはあんなに冷たかった体が、たった一言で満たされ、アドレナリンを出しまくっている。
俺は持て余す熱を放出するかのように、まだ薄暗い道を一人歩いた。
冷たい空気が肺に流れ込んでくる。
体の中が浄化されていくようだ。
歩道橋を駆け上がると、正面から朝日が顔を出した。
俺は目を細めて、生まれたての陽の光を全身に浴びながら呟いた。
「最高の誕生日じゃねぇか!」
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