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姉はオレの五つ年上でアルファだ。結婚はしているものの子供にはまだ恵まれず、好きな仕事をしながら夫婦で穏やかな時間を過ごしている。なので甥の天翼をとても可愛がってくれるのだ。
「じゃあ忘れ物ない?」
最後にそう確認して、迎えに来てくれた姉と天翼を見送る。
「明けたら連絡するから」
「分かったわ。こっちは心配しないで大丈夫よ」
もう顔が火照ってきている。もうすぐ発情期だ。
オレは二人を見送るとドアの鍵をかけた。
姉は今回の退職について何も言わなかったけど、何やら感じ取ってるみたいだ。それでも何も訊いて来ないのはありがたい。
いつも姉はオレの味方をしてくれる。
天翼を生む時も、両親は反対したのに姉だけは初めから応援してくれた。
いつもありがとう。
そう思いながら籠るために寝室へ向かうと、スマホが鳴った。姉からのメッセージだ。
『忘れ物をしたから、インターフォンが鳴ったらドアを開けて』
そのメッセージを読んでいるとすぐにインターフォンが鳴る。
何を忘れたんだろう?
そう思いながら開けたドアから流れ込んでくる香りは・・・。
あっと思った時には外からすごい力でドアを大きく開けられ、押し入ってきた人に強く抱き込まれていた。そして閉まるドアとカギの音。
心臓が壊れたように早鐘を打つ。そして息が上がり、身体が熱を帯びる。
オレを強く抱きしめるこの腕を知っている。そして鼻腔をくすぐる艶を帯びた香り・・・。
どうして・・・?
パニックを起こした頭は働かず、身体は求めてやまないアルファに歓喜して一気に発情した。
そして、後頭部を掴まれ上を向かされたオレの唇に噛み付くように彼が唇を合わせる。
舌が口内を激しく這い回り、流し込まれる唾液に、オレはそれだけで極まっていく。
「ん・・・ん・・・んん・・・」
いつもより強い発情を起こした身体は抵抗するどころか完全に彼を受けいれ、貪るように彼の唾液を飲み干す。そしてその場で押し倒されて下肢を剥かれても、身体は歓喜に震えるだけで何も出来ない。キスだけで飛んでしまった頭はもう何が起こってるかも理解できず、そんなオレをうつ伏せにひっくり返してのしかかった彼はオレの耳元に口を寄せた。
「僕から逃げるなんて許しません」
そう言うと彼はなんの施しもしていない後孔に熱い昂りを一気にねじ込んた。
「ああっ・・・!」
発情期でいくら濡れてるとはいえ、この十年全く受け入れていなかったそこは狭く、いきなり押し挿入ってきた太い肉棒に悲鳴を上げる。
激痛が身体を突き抜け、その痛さに意識が遠のく。
ほとんど意識を失ったオレに何度も腰を打ち付け、降りてきた子宮を突いて刺激する。その快感にオレの身体は素直に反応し、何度も極め、冷たい床に白濁を撒き散らす。
そして・・・。
「あなたは僕のものです」
その言葉と共に腰を深く打ち込まれ、再び極まったその時、オレのうなじがかっと熱くなった。その熱とともに、オレは完全に意識を失った。
いつもより強い発情はオレの意識を戻す時間を与えず、オレはまるでケモノのように求め、与えられ、さらに求めた。オレの中の欲望はすでに性欲しかなく、食欲も睡眠欲もなかった。ひたすらアルファの精だけを求め、与えられ続けた。それがどれくらい続いたのか、ようやく戻った意識は腰を打ち付けられる振動の中ではっきりした。
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