年上オメガは嘘をつく

19/24
前へ
/24ページ
次へ
発情期が明けたのにオレは仰向けに寝かされ、彼のものをその身に穿たれている。 オレの上で腰を動かしながら、彼がオレの目覚めに気づく。けれどその動きは止めず、さらに深く挿入ってきた。 「あっあっあっ・・・」 目覚めた時にはもうイク寸前で、彼の深い挿入にオレはイってしまった。でももう出すものがないそこはふるふると震えるだけだ。 「ん・・・ん・・・っ」 なかなか去らない快感に身体が強ばる。そしてようやくその快感が少しづつ薄れてくると、オレの下肢も落ち着いてくる。けれどオレの中から彼は出ていかない。 そう言えば、彼は発情期明けにそのままするのが好きだった。 発情期の本能剥き出しの交わりから、明けて理性を取り戻したオレが恥じらいながらする行為のギャップがいいと、必ず明けてからもしていた。それでピルを飲み損ねて天翼ができたのだ。 彼はオレの首元に鼻を埋め、香りを確かめる。そして腰を再び動かし始める。 「ちょっと・・・待っ・・・あっ」 オレの抗議を戒めるかのようにオレの最も感じる場所をその昂りで抉る。 そしてそこを執拗に擦り付けながらオレの前も握り、やわやわと扱き始めると、胸に唇を寄せてそこを食み、舌で突起を転がされる。 ついさっきまでずっとしていた身体は簡単に火が付き、高みへ押し上げられていく。けれど発情期が明けた頭は理性が残り、こんな状態で一方的にイカされることを良しとしない。 オレは頭を横に振り、快感に耐える。けれどその瞬間彼から威圧が放たれる。 「イって」 胸の突起を舌で転がされながらのその命令に、オレはすぐにイってしまう。そしてまた長い快感の中で、彼もまたオレの奥深くに白濁を放った。そしてそのままオレの上に倒れ込んで来る。 まだ挿入ったままだ。 まだ残る快感に身体がびくびくと震え、発情期中やりっぱなしだった身体は疲れ果てて指一本動かせない。そんなオレを自身をまだ中に埋めたまま強く抱きしめる。 お腹が熱い。 今もそうだけど、おそらく今回はずっと何もつけずに中に出されたみたいだ。 一瞬ピルを飲まなければ、と思ったが、最初から出されていたのならもう間に合うわけがない。すでに数日は過ぎているはずだから。 そしてようやく去ってくれた快感の波に、今の自分の状況を考える。 何が起こったのだろう? いや、起こったことは分かる。 発情期になぜか現れた彼とずっと身体を合わせていたのだ。だけど、どうして?どうしてそうなったのか・・・? 相変わらずオレを抱きしめていた彼は、オレの快感が去ったのが分かったのか、不意にオレの顔を覗き込み、唇を合わせた。 「あなたは僕のものです。どこにも逃がしません」 そう言う彼から放たれる強い支配力と独占力。彼は肉体だけでなく、精神的にもオレを支配した。けれどそれを少しも不快に思うどころか、喜びがオレを包む。それが分かったのか、彼はもう一度軽く唇を合わせると、ベッドサイドに置いてあったティッシュを取り、自身を引き抜くとそこにあてがった。 彼のものが抜かれた途端に溢れ出てくる。何もしなくても出てくるということは、それほど多くを中に注がれたということだ。 オレは無様に足を閉じる力もなく、そのままひっくり返されたカエルのように足を開き、彼に処置をされる。 身体を清められ、シャツを着せられる。そして再びベッドに上がってきた彼に後ろから抱き込まれる。 うなじを舐められた瞬間、ピリリと痛みが走った。 そう言えば、うなじを噛まれた・・・? 記憶の片隅に、彼が最初に挿入ってきた時にうなじが熱くなったのを思い出した。
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1445人が本棚に入れています
本棚に追加