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「そこな道行くイケメンのお兄さん、壺はいらんかえ」
なんか、あからさまに怪しい老婆があからさまに怪しい壺を売っていた。こんなもん抱えて、一人で待ち合わせまでどう過ごせってんだ。
「お婆さん、悪いけどおれは…」
「おぉ、お兄さん人を待っているのだね。分かるよ」
なんだこの婆さん、占い師の真似事か?そんなもん、人待ち顔で中華街ぶらついてる時点で誰にでも分かるっつうの。
「さあな。どっちみち、壺は買わないよ。そんな薄汚い…」
「そうかい、そりゃ残念。この後あんたが会う人は、この壺をえらく気に入ると見たよ。あんたのことを見直して、抱きついてキスしてくれるかも知れんねえ」
「買った」
そうやって多少食い気味に、こんな壺を買ってしまった。待ち合わせまで数時間、こんな荷物になりそうなもん抱えてどうすんだ。知らない人が見て、おれのことを兄が絡んだら何でもするチョロい奴だとでも思ってしまわなければいいが。
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