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「はい、ただし多少の制約はございますわ。まず、人の心を動かす願い事はNG。『ワタクシと同じ能力を得る』『宇宙の覇者となる』もNG。どんな願い事であろうが、叶うのは本日の日没までです」
「制約多ッ!それ、何もしないのと同じじゃない?秋だから日没までそんなに時間ないし、人の心動かせないの?『兄貴の心タラしこむ』とかもNG?」
「はい。と言うか、それがあなたの一番の望みですの?何でしたら、あなたの望む姿に化けて差し上げることなら出来ましてよ。ほら、どろ〜ん」
そう言って彼女が腕をかざすと、いつの間にか兄貴の姿に変わっていた。こないだ中華街で買ったとか言う、チャイナ風パーカーを羽織っている。
「いかがかしら。オプションで、お兄様の性格を如何様にも弄って差し上げましてよ。『ねーえーみな君、お兄ちゃんちょっと疲れちゃった。どっかお休みできる所に行かない?』なーんて」
そう言って媚を売ったような顔を見せ、甘えたような声をかけてきた。しかし、すでにおれの目には届かず、耳にも届いていなかった。
「ふ…ふふふふふ」
「な…何が、おかしいんですの?」
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