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「みな君!ごめんね、遅くなって。やっと、バイト終わったよ。今からでも、晩ごはん一緒に…。どうかしたの?」
兄貴が来た。すでに、日が落ちたらしい。彼女の姿はそこになく、後にはおれの腕の中に例の壺だけが残った。
「うわあ、それお土産で買ったの?すっごい綺麗な壺」
手許の壺は、すっかり汚らしさは身を潜め新品同様になっていた。
「玄関で、花でも飾ろうか…。ってか、気のせいかな?みな君、ちょっと頭下げて」
言われた通りにすると、兄貴がおれに顔を近づけてきた。え、これって…。
「やっぱりだ。みな君のお口、なんだかすっごいいい香りがするねえ。ブレスケア?これから中華料理食べるし、お兄ちゃんにも良かったら教えてほしいなあ」
兄貴が目を輝かせてそう言った。おっとこれは…。「抱きついてキスしてくれる」だっけ。ババアの占いも、あながち外れてなかったんじゃねえの?
おれはすっかり気分がよくなって、兄貴と二人で予約していた中華料理屋に赴いた。
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