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曲がり角で転びそうになりながら、急いで走った。
その時に、ユイの顔が見えた。どこか悲しそうな表情で何かを言っていた。
岩場を駆け抜け、橋を通ろうとしたら後ろから声がした。
「どこ行たの!」
母の声だった。僕は驚きながら振り返った。
母は神社の方へ続く道から駆けてきた。
「勝手にどこ行くの!探したのよ!」
と母は怒鳴った。だけど、僕は母への恐怖より、別の事に体を震わせていた。
「ね、ねえ、お母さん。さっきまで一体どこにいたの?」
「何言ってるの!▲▲がどっか行ったんじゃない!一体どこにいたの!」
「…あそこにいたよ」
僕はそう言って神社の方を指さした。
「…え。どういうことよ。私はあそこで探してたのよ」
「僕もずっとあそこにいたよ。お母さんこそどこにいたの」
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