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13 クリーニング店のとなり
コインロッカーを開けると、丁寧に包まれた箱…ではなく、缶があった。
サイズは目覚まし時計くらいで重くはない。
私は、あの確認作業の為に振ろうとしたが、その前に、そっと持ち上げ裏面を確認した。さっきのようにカギや、他の何かを落とすことがないように、あらかじめチェックした上で、そっと振るとコトコト音がした。
今まで同様、この作業をしても中身は全くわからない。だが、やらずにはいられない動作になっていた。
よく見ると、ロッカーには小さな封筒があった。中には次のカギが入っていた。
A4くらいの大きさの荷物の上に、コインロッカーのカギを乗せ、施錠する。
次の場所も、少し歩くようだ。
大通りに出て、花屋を過ぎて、お地蔵さんの角を曲がり、坂を下りたクリーニング店のとなり…と言われても、現在地から大通りに出るにも、かなり歩かなくてはならない。
やっと大通りに出たが、花屋さんなんて見えてこない。
あれ?反対に来ちゃったかな…と思い始めた時に、遠くに花屋さんの配達の車が止まっていた。車の後ろに GIFT と大きく花束がデザインされていた。
アレが見えなかったら、引き返していたかも…。
「それにしても、遠い…。」
ただ歩くっていうのは、色々と考えてしまう。
なぜ、コインロッカーからコインロッカーへと運ぶっていうか、移動させているのだろう⁈
カギを荷物と一緒にして、必ずコインロッカーに入れてしまうから、途中から開けることは出来ないし…。
私が今している移動をするためには、誰かが前もって逆ルートから入れて置かなければならないし、この荷物を回収する誰かも同じルートで回ることになるんだよね…。
何か意味があるんだろうか?
余計な事を考えていたら、お地蔵さんの角を曲がるのを忘れて、通り過ぎるところだった。お地蔵さんに手を合わせて、先を急いだ。
坂の下にクリーニング店がある筈なんだけど…あ!クリちゃんマーク発見。
あそこが、そのクリーニング店かな⁈
間違いないみたい、となりにコインロッカーが見えてきた。
コインロッカーについて、疲れが出てだるくなってきていた、ふくらはぎを軽く叩きながら、連絡を入れた。
次の指示と目的地を聞いて、スマホをしまった。
小さな封筒からカギを出した。今までにも繰り返してきた同じ作業だが、カギを
差し込み、中を見る時は、やっぱり緊張する。
ロッカーの中には、水色のビニール袋があった。
その中には、かなり大きい正方形の箱が入っていた。
相変わらず、中に何か入っていることはわかるが、何かはわからず、今回も音や匂いはしない。…ただ、気味が悪いほど軽い。
次のカギが袋の底に入っているのを確認した上で、丁寧に包まれた缶を入れ、その上にカギを乗せて施錠した。
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