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16 初回無事終了
食べ終わる頃マスターが、最後の連絡を入れるように。と伝えてくれて、紅茶セット代は依頼人から貰っていると聞き、私はお礼を言って店を出て、全て終了した事を連絡した。
次回は、翌週の土曜日8時スタートになった。
電話を切る直前に、どうしても気になっていた事を聞いた。
「今日の荷物なんですが…壊れ物とかってありましたか?」
「えっ?落としちゃった⁈…たぶん…大丈夫だと思うよ。次回は翌週の土曜日8時ね!…お疲れ様。」
はぁ…良かったぁ。弁償とか言われたら、どうしようかとかなりビビった。
喫茶店に厳つい男の人も居なかったし、何かにサインさせられる事もなかったし、連行もされず、臓器も無事だった…。
今日のバイトが何とか終わり、緊張と歩き疲れで、正直、ヘトヘトだった。
自宅の部屋へ戻った私は、ベッドに寄り掛かり座ったままの状態で、夕食までぐっすりと寝ていた。
次の日は、やっぱり筋肉痛で足はパンパンだった。痛みのある足を庇いながら階段を下りて、私は直ぐにテレビをつけた。
もしかしたら、昨日私がしたバイトに関係したニュースが流れているのではないかと思い、今までで一番集中してニュースを見た。…が関係のありそうなニュースはなかった。
どこかで安心したような、モヤモヤしたままのような、そんな自分を持て余していた。
次の土曜日は、どんな物をどこへ運ぶのだろう…。ふと今回の事を、私なりに整理しておこうと思い立った。
このバイトで身元がはっきりしているのは、喫茶店のマスターぐらいだ。
…いや、臨時雇いという事も考えられるか。
携番なんて、すぐに変えられるし、後追いは難しいだろう。
〝怪しい〟と分かっていながら乗っかったのだから、今さら仕様がないが、不安は膨張し続けていた。
次回バイトの待ち合わせの場所へ行ったら、知らない怖い人がいる…とか。
ん…確かに運んだのは私だけど、中は知らされていないし、推測すらつかない。
運んだっていうか、移動した場所は知っていても、毎回カギと荷物を一緒にして施錠していたし、最終的にはカギをマスターに渡してしまっているので、カギを持っていない私を狙っても、荷物は手に入らない。
あと考えられるのは…このバイトの内容を知っている部外者は、私だけかも知れない。移動する事に、どんな意味があるか分からないけど、AからBに取り次ぐ役目⁈…仲介とか…だって、最終的に最初の場所まで戻ったし。って事は、部外者で仲介した私の存在は、ヤバ過ぎるから口外されない為に、口封じ…とか。
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