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18 逆順
……が、違っていた。
中には、綺麗にラッピングされた小さめの袋があった。
色の違う2枚の薄い不織布の袋に入っていて、可愛くキュッとリボンが付いている。
袋の手前には、次のカギが置いてあった。
私は、そっとカギとリボンが付いた小さめの袋を出した。
手の感触から、袋の中に箱が入っているようだ。
このロッカーに入れる荷物はないので、空のまま施錠した。
前回とは、全く異なる感じの荷物だ。渡す相手が違うのかも知れない…。 そんな事を考えながら、歩き出した。
予想通りだとすれば〝ライブハウス〟→〝クリーニング〟→〝ポスト〟→〝ピンクのコインロッカー〟→〝落書き〟→〝デパ地下〟→〝北口〟の7か所か。
一度行ったとはいえ、逆順ってのは正直、方向音痴の私は苦手だ。
先週は右へ曲がったところを左とか、見ているものが左右逆なので、それだけで勘違いして迷子になりそうだ。
不動産屋を左に曲がり、大通りを歩いた。
駅から離れるにしたがって、人の数は減って行った。
周囲の様子が気にならないと言ったらウソになるが、もう〝ヤバイ〟〝怪しい〟の感覚がマヒしていた。
行き着くところを想定して、最後の整理もしてきたので、肝が据わってきているというのもあるだろう。今ならナイフを持った人が走り寄ってきても、さほど驚きはしないだろうと思った。
そして右側に公園が見えて来て、そこを右へ曲がり、キョロキョロとしながら歩いて行くと、奥に坂と手前にクリーニング店の看板が見えて来た。
ロッカーに着き連絡をした。
「もしかして…先週の逆順を回ります?……あ~やっぱり。手順も変わらないですか?……はい。それなら、何か分からない事があった時に、連絡するって事で良いでしょうか?……はい。わかりました。」
こちらの疑問とあちらの話を聞き、予想通りだった事を確認して通話を終わらせた。
迷子にさえならなきゃ、順路も手順も分かっている。
いちいち連絡するのが面倒で、何かあった時には連絡するという事にして貰った。
そうして、私は2つ目のロッカーを開けた。
可愛い色彩の紙袋が、目に飛び込んできた。斜めにならないように気を付けて袋を取り出した。
袋の中には、太い筒状の容器とカギが入っていた。太い筒状の容器は、綺麗にひだが付けられたラッピングが施されていた。
前の物もコレも、2つともセンスが良いラッピングで、明らかにプレゼントといった感じだ。リボンが付いた小さめの袋を、ロッカーに入れてカギをかけた。
私は、可愛い紙袋とカギを手に、3つ目の〝ポスト〟へ向かった。
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